みなさん、こんにちは。
近年ではソフトウェアテストの自動化も進んできましたが、現実にはまだほんの一部であり、人手でテスト設計・テスト実行するケースが大半を占めるのではないでしょうか。 大雑把な話になりますが、ソフトウェアのテストエンジニアは、テスト仕様書を作成する「テスト設計者」とテスト仕様書に従ってテストを実行する「テスター」の2種類に区分されます。
テスターを取り巻く現状
残念なことに、テスターについては世の中まだまだこんなふうに思っている人が多いようです。 プロジェクトマネージャー: 「困ったな、開発が遅れている。テスト期間を短縮して納期に間に合わせよう。新人をアサインして、足りなきゃアルバイトでも雇って人海戦術でやっつけてしまえ!」 (テストなんて素人でもできるさ…) 求人広告: 「ソフトウェアのテスター急募!!未経験者可。指示書通りになっているかチェックするだけの簡単なお仕事です♪」 上司: 「新人はまだプログラム組めないからテストでもやらせといてよ。」 (どうせ頭使わないし…) 先輩: 「ねぇ君、ちょっとこれテストしといてくれる?」 (テストなんてめんどくさくてやってらんないよ) 新人: 「はーい、わかりました。」 (でも、どうやれば…?)
このようにソフトウェア検証の世界において、テスターという職種はテスト設計者に比べて単価も安く、「学生アルバイトでもできる」「ロースキル」などと不当ともいえる評価を受けており、低い地位に甘んじているのが現状です。残念なことに、現状では採用されてすぐ、満足な教育も受けずに現場に投入されることが少なくなく、検証業務に対する基本的な知識や取組み姿勢、ITスキルが不足したままになっています。
業界の意識の問題も
一方で検証を依頼する側の意識も、多様なITスキルを要求する割には、まだまだテスターを「誰でもできる使い捨て」のように考えているように見受けられます。 しかしながら、ソフトウェア検証事業が今後ますます発展していくためには、テスターのレベルアップと業界内での地位向上(正当な評価)が必要不可欠と考えております。なぜなら、どんなに素晴らしいテスト計画を立てても、どんなに緻密なテストケースを設計しても、実行者の理解不足や思い込みによるミスがあれば、正しい結果が得られず全て水泡に帰してしまうからです。 何事もそうですが最後は「人」に帰着します。優れたテスターをどれだけ確保できるかがソフトウェア検証の成否を握るカギとなるといっても過言ではありません。
以上のような背景から、テスターという職種に対する既成概念からの脱却とテスト現場に出るための基礎的知識取得を目的とした教育カリキュラムのようなものが必要なのではないかと考えるに至りました。今後ソフトウェア検証事業全体の技術力の底上げのため、ひいてはソフトウェア社会の健全な発展のために、この課題に取り組んでいきたいと考えています。
次回は、テスターに求められるスキル・能力についてお話ししたいと思います。
ご愛読ありがとうございました。