「デキる」テスト技術者育成のポイント

みなさん、こんにちは。
ご存知のとおり、ソフトウェア開発プロジェクトは実に様々な立場の人達で構成されており、それぞれ役割を担っています。いわば『駕籠に乗る人担ぐ人そのまたわらじを作る人』なのです。中でも、近年ではテスト工程において専任の「テストチーム」を編成することも多くなってきています。ところが、その「テストチーム」が思うように機能しない・うまく運営できない、といった問題が増えてきていることも事実です。 今回はテストチームのパフォーマンスを最大限発揮させるために、如何に「デキる」テスト技術者を育てるか?についてのヒントをお話ししたいと思います。

テストがうまく進まない!

開発のスケジュールが押して、テスト工程がバタつくのは毎度のことながら、誰しもいい加減なテストをしようなどと思うわけはありません。しかし仮に、綿密なテスト計画を策定し、精緻なテストケースを作成し、必要なリソース(要員、時間、コスト、設備)を準備してテストに臨んだとしても、結果としてなかなかうまくいってくれないものです。代表的な症状を挙げてみましょう。 ①予定どおり進まない ②実施時のミスでやり直しが多い ③不具合報告やエビデンスの不備が多い 思わぬところに伏兵あり! テストがうまく進まない原因として、実はテストオペレータの能力が大きく影響していることがあるのです。③については完全にそうですね。 ①や②の場合、バグが多いとか環境が整っていないとかの開発側に問題やテスト設計不備が原因であることは事実ですが、実はテストオペレータのスキルやモチベーションの問題だったということも往々にしてあるのです。 例えば、基本的なITリテラシが欠けていると、テスト手順が理解できなかったり操作に手間取ったりして効率が悪くなります。テストオペレータとしての基本行動が身に付いていないと、自分勝手な解釈でテストを実行してしまい正しい結果を得られないということも起きるでしょう。また、自分のやっている仕事が正当に評価されなかったら、きっとやる気がなくなってしまうでしょう。 では、なぜそのようなことになってしまうのでしょうか?

テストは素人でもできるという風潮

ソフトウェア開発プロセスにおいて、テスト工程は最後の方に位置することから、設計やプログラミングななどに比べて素人でもできると思われがちです。中でもテストケースに従って実際に操作しテストを実行する「テストオペレータ」はテスト設計者に比べて単価も安く、「フリーターや学生バイトでもできる」「ロースキル」などと不当な評価を受けており、低い地位に甘んじているのが現状です。 そして、検証を依頼する側の意識も、多様なITスキルを要求する割には、まだまだテストオペレータを「誰でもできる使い捨て」のように考えているように見受けられます。

教育体制が不十分

テスト技術者はかわいそうなことに、現状では採用されてすぐ、ろくな教育も受けずに現場に投入されることが少なくありません。当然、検証業務に対する基本的な知識や姿勢、ITスキルが不足したままになっています。 IT業界全般的にプログラムの組み方や設計のやり方、プロジェクト管理などは教育してくれますが、テストのやり方を教えてくれたという話はついぞ聞いたことがありません。そして残念なことにソフトウェア検証業界においてさえ、テスト戦略・テスト計画・テスト設計技法・テストマネジメント・不具合分析といったテスト上流・管理者向けの教育講座は多くみられるものの、テストオペレータの育成に特化したカリキュラムを見つけることができていません。(もしかしたらどこかにあるのかもしれませんが…。)

テストオペレータの地位向上を図れ

管理者層を含めた開発プロジェクトの人たちに申し上げたいことが2つあります。 まずは間違った認識を改めなければなりません。 テストは誰でもできるものではなく、訓練されたプロが実施するからこそ成り立つものなのです。決して言われたとおりに操作打鍵して結果を出すだけではありません。テストの目的や意図を正しく理解し、客観的に判断し、事実を的確に伝えることができる『技術者』としてリスペクトすべきなのです。 また、評価や待遇を改善する必要もあります。 基礎的な知識をきちんと身に付けるよう適切な教育を行ったうえで現場に投入すべきですし、やっている仕事に対して正当に評価することはもちろんのこと、報酬や契約単価などの面でも努力に報いるべきです。

テストオペレータよ大志を抱け

一方、テストオペレータの人に対しては次の2つの言葉を贈りたいと思います。 「自分磨きを心掛けよ」 以前の記事「テスター」に求められるものでも述べたとおり、ただテストを実行するだけではなく、データを検索したり作ったり、コマンドを叩いたり、時にはシェルを作ったり…と多彩な能力が要求されます。常に貪欲に知識を吸収しスキルアップに努めましょう。 「テスト道を究めよ」 一生テストオペレータで終わるのかというと、そんなことはありません。れっきとしたキャリアパスが用意されています。テストオペレータに始まり、テスト実施リーダ~テスト設計者~テストマネージャ~テストアナリストといった具合にキャリアアップしていく道があるのです。常に目標を持ち、向上心を忘れないようにしましょう。

そこで、私たちはテストオペレータの意識と能力を高める教育内容についてご説明するための簡単な資料を作成しました。 ご興味がおありの方は<こちら>からダウンロードしてください。少しでもお役に立つことができれば幸いです。

ご愛読、ありがとうございました。

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