テスト技術者が育つ品質・テストの教育方法

みなさん、こんにちは。
―品質に対する危機感を募らせた一部の志ある人たちが立ち上がり、経営層の理解も得たのに、いざ組織的に品質向上に取り組もうとしてもみんながついてこない― このような例を耳にするたびに、たいへん残念でなりません。 今回は、せっかく改善しようと活動を始めたにもかかわらず頓挫してしまうことのないようにするにはどうしたらよいか?についてお話ししようと思います。

経営層と現場のミゾ

経営層の方々からすると「現場には口を酸っぱくして言っているんだが、笛吹けど踊らずでねぇ…」といった具合に「言ってるのにやってくれてない」不満をお持ちです。 一方、現場はというと「号令だけかけられても無理。経営側の責任でやることでしょ」と、そっぽを向いています。 このように、両者の考え方には大きな隔たりがあるものです。

誰がテストするの?

―きちんとテストすることが第一歩― 誰もがそのように思っています。異論をはさむ人などいるはずがありません。しかしそこで「誰がやるのか」が現実問題として浮かび上がってきます。「当然作った人でしょ、他人にはわからないし…」という意見が大勢を占めると思います。 ですが、作った人の本音としては、作るまでが仕事なんだからテストなどやりたくないのではないでしょうか。自分の作品は完璧だと思いたい、直さなければならないから間違いを見つけたくないという心理が働くことはないでしょうか? そんなとき、「誰かがちゃんとテストしてくれればいいのになぁ」と考えるのも不思議ではありません。

品質意識が希薄

このような状況下では品質向上という課題に対して「自分の仕事ではない」「誰かがやってくれるだろう」などと他力本願になりがちです。または「何か素晴らしいやり方やツールがあるに違いない」と期待を抱くかもしれません。品質を自分自身の問題として捉え、何のために品質を良くしなければならないのかをきちんとわかる必要があるのです。 また、「品質が良い」とは何を以ていうのか、といったことも意外と理解されていないものです。あまりにも当たり前でありふれた質問なので、「バグがなければ」「動かして問題なければ」あるいは「使いやすいこと」くらいにしか考えられていないのが現実なのかもしれません。

教育のありかたにも問題あり!

社員教育のカリキュラムでいつも気になるのは、プログラム作り方は教わるけれどテストのやり方を教わらないことです。さすがに「テストをして正しく動くかどうか確認しなさい」くらいのことは書いてあったりしますが、たいていの場合テストとデバッグが同一視されてしまっていますし、何をどのようにやったらちゃんとテストしたことになるのかといった具体的実践的なことは触れられていないことが多いのです。(たまにJUintなどのツールを使ったユニットテストを教えたりすることはありますが。) それはある種当然の帰結です。なにしろテストのやり方を教えられる人もいないのです。というのは、教育をする立場の先輩社員たちもテストについて学んでこなかったし、やってもこなかったからに他なりません。

教育見直しポイント① 品質意識の醸成

まず、「品質とは何か」「品質を上げるとはどういうことか」といった根幹となることを正しく理解し、業務に取り組む意識として定着させることが不可欠です。この点を疎かにすると、うわべだけの理解となり、ツールや手法にばかり頼るようになるなど、真の目的を見失ってしまいます。 また、テストについての正しい理解も重要です。テストの意義や必要性及びその限界がわかっていないと、不具合を全てテストのせいにしてモグラたたきに陥ることになります。なぜならテストは万能ではなく、それだけでは品質を向上させることができないからです。

教育見直しポイント② 「テストできる人」を作る

テスト専門の技術者とまではいかなくても、きちんとテストのできる開発技術者として育成するには、テストに対するイメージの変革を図らなければなりません。つまり「作ったプログラムを動かしてみる」ことだけがテストではなく、何をどう確認するのか目的を定め、ケースを洗い出す…といった前準備から含めた一連のプロセスがあることを理解しなければなりません。 それとともに、テストのやり方だけでなく『マインド』も身に付ける必要があります。自分の感覚や経験値で勝手な解釈・判断をせず、あくまで定義された要件と仕様に基づく『検証と妥当性確認』に徹すること、テストは決して『あら探し』ではなく質の高いプロダクトを世に送り出すための開発者とテスト実施者の共同作業である認識を持つことです。

そこで、私たちは新人エンジニアなど経験の浅い人材をテスト技術者として育成する教育内容についてご説明するための簡単な資料を作成しました。 ご興味がおありの方は<こちら>からダウンロードしてください。少しでもお役に立つことができれば幸いです。

ご愛読、ありがとうございました。

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