業務系システムの第三者検証を広げよう(3)

前回は、テスト事業を展開する有志が集い、どのように第三者システム検証情報交換会(研究会)が発足したか、テーマ、活動内容、その想いなどを紹介しました。その中でシステム品質とのかかわりが重要なテーマとして目の前に立ちはだかっていることが分かりました。今回はシステム品質に対して第三者検証がどのようにかかわっていくか、お客様(利用者)が求める品質などについてみていきたいと思います。
■過去記事はこちら(第一回 第二回)

「品質」の担保は必要か

研究会で毎回のように登場するキーワードに「品質=クオリティ」があります。「第三者検証における品質の確保と向上は避けて通れない」との観点から意見交換が行われました。開発時のリスクをいかに軽減するかはテスト検証の本質です。ただ、「高品質」「品質向上」など品質という言葉を振りかざすだけでは第三者検証サービスの重要性を説明することにはなりません。逆にITベンダーの満足感を満たすだけになりそうです。

では、品質をどう捉えるか―。お客様の要求に対して不足なくシステムが稼働していることが品質の原点で、ここからさらにユーザビリティやシステムの柔軟性を高めていくなどが高品質あるいは安心品質へとつながるのではないでしょうか。ただし、そこにはお客様のIT予算もからんできますので、品質をどこまで高めるかはお客様との交渉ということになります。

研究会では「第三者システム検証=品質の担保」という図式が話題に上った時がありました。品質を担保するには、コスト、方法、開発工数とテスト工数、人材の確保・育成という開発ベンダーを含めた総合的な観点から議論される必要があります。加えてテストにかかるコストや時間はどうしても考慮しなければいけないものであり、現実問題としてのしかかってきますので、「担保する内容はその時どきで変化する」との意見も多く、研究会では当面、「第三者システム検証サービスは品質を担保するものではない」という方向に落ち着きました。なぜなら、誰が瑕疵(かし)責任を取るかという問題が横たわっているからです。担保するということは、瑕疵が出た時にその代替を保証するということになります。言葉遊び的な展開になりますが、やはり単語は正しく認識して使用することがお客さまにも分かりやすく説明できるようになります。第三者検証サービスベンダーは、開発ベンダーが行うであろうテストをさらに高度な専門レベルで実施してシステム品質を高めるプロフェッショナルではありますが、誰がどこまで担保するかはSLAなどをベースに、お客様および開発ベンダーとの十分な議論が必要なのではないでしょうか。

もうすぐ年末年始の長期休養に入る方も大勢いらっしゃるでしょう。エレクスは12月28日(土)から1月5日(日)まで年末年始休となり、当コラムも今回が今年最後になります。次回は1月9日頃の再開としたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。テーマは「第三者検証のシステム品質とお客様へのアピール」を予定しています。お気付きの点やご要望などを受け付けておりますので、softwaretest.div@elecs-web.co.jpまでメールをお願いします。本年もいろいろとお世話になりました。良いお年をお迎えください。

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