業務系システムの第三者検証を広げよう(6)

みなさん、こんにちは。業務系システムの第三者ソフトウェアテスト検証について、これまで「第三者システム検証情報交換会(研究会)」を通して業界認知を模索してきた経緯を追ってきました。今回は反省を含めて、研究会のその後を紹介します。
■過去記事はこちら(第一回 第二回 第三回 第四回 第五回)

近くて遠い業界認知

ここで繰り返しますが、第三者ソフトウェアテスト検証ビジネスは最近になって拡大してきた印象があります。ソフト開発の短納期化、継ぎ足し継ぎ足しでスパゲッティ状態になったシステムへのさらなる機能追加など、お客様も開発ベンダーも非常に苦労しています。ITの弛まない進化に対応するだけでなく、開発ベンダーはお客様のビジネスモデルの変化に柔軟に応える必要があります。BYODなどスマートフォンやタブレット端末へのアプリ対応も増えています。そうした中で、第三者がソフトウェア検証、テスト検証を実施する業界が認知されてもおかしくはない状況になってきたといえるでしょう。

研究会は、昨年3月の勉強会を最後に活動を休止しています。当初の目的である業界団体を作り第三者検証サービスをどう社会にアピールするかという観点が、いつの間にかビジネスとして案件を取るためにどうするかというように、団体設立に向けた意識合わせから徐々に利益重視・案件確保の話題に移行していったためです。IT検証産業協会(IVIA)のように組込み系・制御系の検証ベンダーが多く集まり、情報交換や技術を含めたワーキンググループ活動が活発に行われることを業務系システムでも期待したのですが、志半ばでの休止となりました。

研究会に参加してくれた方々も手弁当で集まってくれました。業務系システムにおける第三者ソフトウェア検証サービスのノウハウは各社が蓄積しており、それらを標準化するのは非常に難しいのですが、基本的な部分(概論やテスト技術者育成、キャリアパスなど)は変わらないことも分かりました。そうした基本的な部分を標準化し公開できれば業務系システムの第三者検証の有用性と必要性を、お客様にアピールできることも見えています。

今でも強く思うのは、やはり業務系システムの第三者検証に特化した業界団体があり、サービスの標準化およびテスト技術者のスキルマップの体系化など基盤創りを推進して、お客様を含め第三者ソフトウェアテスト検証サービスを分かりやすく紹介する環境を創出することが認知度向上に必要だということです。残念なことにテスト検証事業者が各自で第三者検証の有用性をアピールしてもその影響範囲はたかが知れていますし、テスト検証事業者の知名度が全体的に低いこともあり、せっかくのアピールがお客様とSIer(開発側)の固定観念を溶かすことができないでいる。何とももどかしいですね。

では業界認知が進まないのは何が課題・障害なのでしょうか。これについては次回で取り上げたいと思います。

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