明けましておめでとうございます。本年もご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。
今年はさらに第三者検証サービス市場が動きそうです。情報処理推進機構(IPA)やIT検証産業協会(IVIA)などの団体もテスト検証の技術者育成やキャリアパスの形成、標準的な検証モデルの構築など活発に活動するのではないでしょうか。
今回は、第三者システム検証情報交換会(以後、研究会と呼ぶ)の動きから、品質の捉え方やお客様へのアピールなどを見てみたいと思います。
■過去記事はこちら(第一回 第二回 第三回)
お客様を巻き込んだ議論を
研究会のフリーディスカッションでは、「お客様(ユーザー)が感じる品質」「ITベンダーが考える品質」というベースとなる部分の意識合わせを行ったほか、「高品質」「安心品質」など第三者検証で必要な品質レベルとはなにか。さらにサービス提供側のテスト作業品質という内部の課題もあり、様々な意見が交わされました。お客様が感じる品質では「テストで品質を上げることではなく、企業のクリティカルなサービスを“早く”“安く”提供するシステムであること」(I社M取締役)という意見も出てきました。ITベンダー側の論理でシステム品質を見る(決める)のではなく、顧客に付加価値の高いサービスを提供するためにITシステムはどうあるべきかというお客様視点に立った考えが必要だとの認識です。つまり、開発者がいかに高品質なシステムを構築しても、「お客様が納得する品質」が別に存在しているわけで、これを解決に導くヒントが第三者検証サービスにはあるのです。
研究会ではユーザー視点に立った品質をどう導き出すかを異業種の方にも参加していただき議論してきました。テスト業界を超えた意見の交換を通して、業務系システムにおける第三者ソフトウェア検証の業界構築に必要な意識や方向性が、わずかながらに見えた感がします。標準的な第三者検証サービスをアピールするにはどうするか、お客様視点でどう検証ビジネスを拡大させるか、お客様のビジネス遂行に安心感を提供するITシステムをどう構築するか―など、第三者検証サービスを業界として認めてもらう活動は端緒に着いたばかりです。そのためには、お客様にも認知してもらわなければ独りよがりになってしまいます。SIerやソフト開発会社の方も、開発フェーズが長引き、テスト期間が十分に取れなくなって困った時に第三者テスト検証事業者がいるだけで安心感が違うと思います。
これまでシステム品質の観点から、どのように第三者検証をお客様にアピールできるかを見たわけですが、さらにシステムのライフサイクルで(この視点が大切なのですが)俯瞰した場合に、設計、製造、運用、改修というPDCAそれぞれでも第三者検証が必要との考えがあります。研究会でも一つの課題として上がりました。次回はそれに焦点を当ててみたいと思います。