【第2回】テスト自動化:テスト自動化を始める前に知っておきたいこと

みなさん、こんにちは。
今回は「テスト自動化におけるメリット・デメリット」についてお教えします。
前回の記事で、テスト自動化の概要についてご理解いただけたかと思います。
自動化の導入にあたり、対象のテストにも向き不向きがあります。
テストによっては、自動化の導入でむしろ手間が増えてしまうことも。
自動化の2つの側面と、どういったテストが自動化に向いているのかを十分にご理解いただき、導入の検討材料にしていただければと思います。

以前の記事はこちら
【第1回】テスト自動化:基本から理解する導入の意義と目的

テスト自動化導入のメリットとデメリット

メリット

テスト自動化のメリットは、単なる効率アップにとどまりません。
自動化を検討する中で、テストで改善したいことは何か、それに対して自動化のメリットがマッチするかどうかを十分に考慮し導入することで、開発プロセス全体の質を大きく向上させることができるのです。
以下では、主なメリットとその具体的な効果について、表を使ってわかりやすく解説しています。

時間の短縮と効率化回帰テストのような何度も繰り返すテストでは、手動での作業時間を大幅に削減できる
一貫性の確保毎回同じ手順でテストを実行することで、手動によるヒューマンエラーを防ぎ、テスト結果のバラつきをなくし、信頼性を向上させることができる
テストの広範囲カバー自動化することで、大量のテストケースや異なる環境でのテストを短時間でカバーできるため、品質が向上する
早期フィードバックの提供開発者がテスト結果を早期に確認できるため、バグを早期に発見し修正することができる

デメリット

テスト自動化には業務効率化、大きな期待が寄せられますが、同時に重要な課題も存在します。
導入を検討する際は、以下のデメリットを十分に理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
特に、初期投資とメンテナンスコストについては、長期的な視点での評価が重要です。

初期コストと設定の時間自動化スクリプトの作成やツールの導入には初期投資が必要であり、初期設定にも多くの時間を要する
すべてのテストに適用できないユーザビリティテストやビジュアル面のテストなど、手動のほうが効果的な場合がある
保守コスト自動化スクリプトは、アプリケーションやシステムの変更に合わせて保守・更新が必要であり、そのためのリソースが必要になる

テスト自動化に向いているテスト・向いているテスト

向いているテスト

テスト自動化の成功には、適切なテストケースの選定が不可欠です。
以下の表に、自動化が特に効果的なテストタイプとその理由を記載しました。
これらのテストは、自動化による効率化と品質向上の効果が最も高く現れる領域、すなわち自動化に向いているテストと言えるでしょう。

  • リグレッションテスト(回帰テスト)
    新機能の追加やバグ修正後に、既存機能が正常に動作しているか確認するテスト。
  • パフォーマンステスト
    負荷テストやストレステストなど、大量のユーザーやデータがシステムに与える影響を検証する場合。
  • 反復的なテスト
    異なる入力値や条件で同じテストケースを繰り返す場合のテスト。

向いていないテスト

自動化が必ずしも最適な選択とはならないケースも存在します。
以下の表に、手動テストの方が効果的なケースや、自動化によってかえって工数が増加する可能性のあるテストタイプとその理由を記載しました。
これらのテストでは、自動化導入にあたり、慎重な判断と適切なアプローチが必要になります。

  • 新規開発時のテスト
    不具合修正や仕様変更が頻繁に発生してしまい、省力化どころか自動化スクリプトを修正する手間が増えるため
  • ユーザビリティテスト
    ユーザーの直感的な操作感やデザインに対する反応を確認する場合、自動化ではなく実際のユーザーによる評価が必要です。
  • 探索的テスト
    テスターがシステムの動作を自由に探索しながらバグを見つけるようなテストは、自動化には不向きです。
  • 動的UIのテスト
    ユーザーの操作や外部データに応じてコンテンツが変わるため、固定された要素をテストする場合と違い、常に変動する要素を考慮しながらテストを行う必要がある。

テスト自動化を活用するためには、自動化に合ったテストを選択する必要があります。
誤った選択をしてしまうと、自動化の恩恵を受けることは難しいです。
自動化を検討していく中で、自分たちのテストが自動化に向いているのか、向いていないのかを正しく見極めることが重要です。

次回は、「テスト自動化導入の流れ:計画編」をお話しします。
ご愛読ありがとうございました。

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