【第5回】テスト自動化:テスト自動化の持続的な運用と保守性向上

みなさん、こんにちは。
前回はテスト自動化の「導入の実践編」について紹介しました。
今回はテスト自動化の導入後の運用保持についてお伝えします。

以前の記事はこちら
【第4回】テスト自動化:計画から実行へ!テスト自動化の実践プロセス

運用における注意点

テスト自動化は一度作成したら終わりではありません。
以下の対応をすることにより、長期的な効果を発揮することができます。

テストスクリプトの定期的なメンテナンス

・環境変更への対応:アプリケーションの変更や新機能追加に伴い、テストスクリプトも随時更新する必要があります
・脆弱性の監視:テストコードが古くなったり、不安定になったりしていないかを定期的にチェックを実施
・重複や非効率なテストの削除:役割が重なっていたり効果が薄くなっているテストケースを整理・削除することで、全体のテスト実行を効率化します

メンテナンス体制の確立

・担当者の明確化:テスト自動化のメンテナンスを誰が担当するかを明確にします
・定期的なレビュー:週次または月次でテストスクリプトとその効果を確認します
・知識共有:チーム全体でテスト自動化に関する知識とベストプラクティスを共有します

テスト自動化の運用保守:効果を最大化するために

テスト自動化を導入した後も、その効果を持続させ、さらに高めていくためには、日々の「運用保守」が非常に重要になります。
ここでは、運用保守において実施すべき主要なポイントを解説します。

テスト範囲の継続的な最適化

自動化されたテストが、ソフトウェアの品質を保証する範囲は常に適切であるべきです。
ソフトウェアは進化し続けるため、テストの範囲もそれに合わせて見直す必要があります。

新機能への迅速な対応:新しい機能が追加された際には、その機能を漏れなくテストするための自動テストを素早く準備します。
これにより、新しい機能が原因で既存の機能に問題が発生していないかを早期に発見できます。

テスト範囲の定期的な見直し:ソフトウェアのどの部分がテストされているかの割合(テストカバレッジ)を定期的に分析し、テストが不足している箇所や、反対に重複している箇所などを特定します。
そして、分析結果に基づいてテストの範囲を最適化することで、効率的かつ効果的なテスト体制を維持します。

重要な部分に注力したテスト:ソフトウェアの中でも、特に重要な機能や、過去に不具合が多かった箇所、セキュリティ上のリスクが高いと考えられる部分に重点的にテストを実施します。
これにより、限られたリソースで最大限の効果を発揮できます。

テストの効率と信頼性の向

自動化されたテストは、実行速度と結果の安定性が重要です。
効率が悪かったり、結果が不安定だったりすると、テスト全体の信頼性が低下してしまいます。

テスト実行時間の管理と最適化:複数のテストケースをまとめた「テストスイート」の実行時間を常に監視し、必要に応じて実行時間の短縮化を図ります。
実行時間が長すぎると、開発サイクル全体の遅延につながる可能性があります。

不安定なテストへの対処:同じ条件で実行しても結果が変動する「フレイキーテスト」を特定し、その根本的な原因を突き止めて解決します。
フレイキーテストが多いと、テスト結果の信頼性が損なわれ、問題の見逃しにつながる可能性があります。

テストの並行実行:可能な範囲で複数のテストを同時に実行する(並列実行)ことを検討。
これにより、テスト全体の実行時間を大幅に短縮し、効率的なテストを実現できます。

保守性を高めるための戦略

テストや業務自動化の仕組みをつくるときは、「あとから修正しやすく」「他の人でも使いやすい」ことを意識するのが大切です。
そのためには、テスト内容を細かく分けて組み立てたり、使い回せるように整理したりしておくと、変更があったときの影響を最小限に抑えられます
また、ルールに沿った名前付けや、設計内容の記録を残しておくことで、チーム全体の理解が深まり、作業の引き継ぎやトラブル対応もスムーズになります。

品質を保つための工夫

作業ルールの明確化:自動化の仕組みを作る際の手順やルールをあらかじめ決めておき、ノーコードツールでも「ひな形」や「ベストプラクティス」を共有します
・定期的な見直し:つくった自動化の仕組みを定期的にチェックし、古くなったり、分かりにくくなったりしていないかを確認します
・整理と改善:時間が経つにつれ複雑になりがちな処理を見直し、無駄を減らしてわかりやすくします
・記録を残す:誰が見ても分かるように、やったことや考えたことをしっかり書き残しておくことが重要です

作業の使い回しと見やすい整理

・よく使う作業のまとめ:何度も使う処理や手順は、「便利なパーツ」としてまとめておくことで、手間が省けてミスも減ります
・ページ単位の整理:画面ごとにテスト内容をまとめることで、あとから修正しやすく、読みやすくなります
・つながりを減らす設計:一つのテストが他のテストに影響しないように、それぞれを独立させておくと、トラブルが起きても対処しやすくなります
変更に強い仕組み:システムや環境が変わっても簡単に対応できるよう、わかりやすく柔軟な構成にしておくことが大切です

まとめ

テスト自動化の成功は、導入で終わるものではなく、継続的な改善と投資によって実現されます。柔軟性を保ち、常に改善の余地を探ることが、高品質なソフトウェア開発の鍵となります。
これから自動化に取り組む方も、すでに実施している方も、ぜひ「自動化を育てていく」という意識を持ってみてください。
それが、あなたのプロジェクトの質を高め、未来の開発をよりスムーズにしていく大きな一歩となるはずです。

テスト自動化が、あなたのチームに安心と効率、そして新たな可能性をもたらすことを願っています!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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